不知火海から届く潮風が、
甘みを引き出す
釜さん:海沿いの温暖な気候や日照時間の長さなど、栽培に適した自然条件だと思います。それから、不知火海から吹き寄せる、塩分を含む潮風でしょうね。
本来、サラダたまねぎの成分の中に塩分はないので、潮風が当たり、塩分が中に吸収されるとびっくりして、「私はもっと生きたい!」と甘み成分を生み出すそうです。「塩トマト」など名前の最初に「塩」がつく野菜も、塩分を上手く利用して甘みを引き出しているんですね。
釜さん:僕たちサラダたまねぎ生産者は、除草剤は一切使わず、農薬や化学肥料の使用も、県の基準の半分におさえる「特別栽培」に取り組んでいます。この方法で一番大変なのは草取り。除草剤だと30分程度でも、手作業だとなんと2~3日かかります! しかも冬場の作業なので、寒さが身にしみます。
「消費者の皆さんに安心して食べてほしい」との思いで頑張っていますが、草取りに人件費が掛かり、その分値段が高くなるので、「これが本当に、消費者が求めているものなのか」と不安になることもあります。
釜さん:はい。消費者の皆さんは、「除草剤は体によくない」ことや「オーガニックが人や環境にいい」ことは知っていても、「特別栽培」と聞いても分かる人は少ないです。中には、「除草剤や農薬、化学肥料を使っていないのなら、コストは下がるのでは? なぜ値段が高いの?」という人も。
僕らは、消費者の意見を聞くのと同時に、自分たちの栽培方法の目的や作業内容を伝える努力もしていかなければなりません。こちらから情報発信する会をどんどん増やしていきたいです。