生産者の声 - 柑橘農園(岩野さん)

田浦の甘夏ミカン、
旨さの3ポイント!

  • 1不知火海からのミネラル豊富な潮風
  • 2陽当たりのいい傾斜地
  • 3農薬と化学肥料を減らして作る

消費者に「安心・安全」を届ける!
減農薬で作る甘夏ミカン

甘夏ミカン発祥の地であり、全国有数の出荷量を誇る芦北町田浦地区。甘夏ミカンを愛し、田浦ブランドを守ろうと奮闘する岩野忠徳さんにインタビュー!!

岩野忠徳さん

農家を継いで50年、
甘夏ミカンひとすじ

なぜ田浦で、甘夏ミカンの栽培が盛んになったのでしょうか?

岩野さん:不知火海から届くミネラル豊富な潮風や陽当たりのいい傾斜地、水はけのよい赤土など、田浦の自然条件が、おいしい甘夏ミカンを作るのにぴったりだったからです。

昭和の後半、東京市場へ出荷するために生産量を一気に増やしました。先輩農家さん達のPR戦略も後押しとなり高度成長期の波に乗って、甘夏ミカンブームに火が付きました。田浦産の甘夏ミカンはあっという間に全国へ知れ渡り、田浦は全国一の産地になりました。

全国一はすごいですね!
では、岩野さんの農家人生は順風満帆だったのでは?

岩野さん:そんなことはありません。自然災害や寒波、野生のイノシシとの闘いなど日々苦労の連続です。毎年、天候などの状況が異なるのでその対応が難しい。正直なところ、今まで満足する出来だったことは一度もありません。

一番の悩みどころは、デコポンなどの糖度が高くて皮がむきやすいミカンが登場したことで、消費者の皆さんが「ミカンの甘さ」や「食べやすさ」を求めるようになり、甘夏ミカン全体の消費量が減少していること。農家になって50年以上になりますが、時代によるニーズの変化を痛感しています。

そのニーズに合わせて、
他の柑橘類を作ろうと思ったことはありますか。

岩野さん:浮気は全く考えたことがありません(笑)。
私は、甘夏ミカンの味に心底惚れ込んでいます。それに「自分が田浦ブランドを守らなければ」という使命感のようなものも感じているんです。甘夏ミカン作りに集中して、新しい可能性や魅力を掘り起こしたい。そして消費者の皆さんのフルーツの選択肢に、甘夏ミカンが当たり前に入るような日を夢見ています。

大切にしているのは
「消費者目線」

農薬や化学肥料を減らした栽培方法に
挑戦されているそうですね。

岩野さん:はい。近年は、環境にも体にもやさしい、安心・安全な食べ物への関心が高まっています。甘夏ミカンの需要が減っている中、「なんとか価値を高めんといかん」と考え、数年前から「食の安全性」を追求した栽培方法に取り組んでいます。農薬の散布回数を減らし、堆肥で土作りをするなどの努力を続けています。

ただ、農薬を減らすとどうしても害虫被害が出てしまうため、形が少々不格好になってしまいます。消費者の皆さんはやはり見た目を重視されますから、そのバランスの難しさは感じます。

ジレンマがあるんですね。
消費者の理解を得るために、何か取り組んでいらっしゃいますか。

岩野さん:「安心・安全な食を届けたい」。そんな想いや育て方を消費者の皆さんに知っていただきたい。できれば、私たちが実際に仕事をしているところを見てほしいのですが、こんな山の上に来ていただくのは難しいので…。

例えば、物産館の販売会などで店頭に立ち、お客さまと会話をして想いを伝える機会を作っています。そしてお客さまと会ってたくさんの感想をいただくことで私たちも元気をもらい、「もっとおいしい商品を作ろう!」とやる気が出ます。

こうした、生産者が顔を見せながら消費者と直接つながる仕掛けは、十数年前は考えられないことでしたが、今は一番大切なことではないか、と感じています。
今後も、どんな形でつながっていくかを模索していきます。

甘夏ミカンは、さっぱりとした酸味がおいしいですね。

岩野さん:ありがとうございます! 私もあの酸味が大好きです。収穫期を迎える3月の中旬頃、外気温が18度くらいの少し汗ばむくらいの時季は、皮をむいた瞬間に弾ける香りと果汁、そしてあの甘酸っぱさが気分を爽快にしてくれます。「あ~、たまらん!」と思わず声が出てしまうほど(笑)。季節が甘夏ミカンのおいしさを教えてくれます。

酸味が苦手な方のために、少し甘みを加えたマーマレードジャムやスムージーなどの加工品も自社工場で製造しています。消費者が「甘さ」や「食べやすさ」を求めるなら、それに応えるのもこれからの生産者の役目だと思っています。何かをきっかけに、とにかく甘夏ミカンを食べてほしいです。

こうして一つずつ課題をクリアしながら、甘夏ミカンの味を次世代に伝えていきたいですね。

橘農園(岩野さん)さんの商品一覧

私たちも作っています