脱サラして農家に。
柑橘類の加工にチャレンジ
濱崎さん:私は代々続く農家の長男です。短大を卒業後、サラリーマンをしていましたが、父が亡くなったのを機に会社を辞め、2014年に実家を継ぎました。主に甘夏ミカンを作っていましたが、若い人たちの柑橘離れに危機感を感じて…。理由を聞くと、「皮をむくのが面倒くさい」「皮のゴミが出るのがイヤ」ということでした。
ならば、「加工品にして柑橘類の需要を増やそう」と、「田舎工房」を立ち上げました。私が小さい頃、祖母や母が作ってくれていた、柑橘類のピールやドライフルーツ、かりんとうなどの「農家のおやつ」を作っています。
その秘訣は?
濱崎さん:「甘夏ピール」は一押しの商品なんです! みずみずしくジューシーで、噛めば噛むほど、甘夏の爽やかな風味が口の中いっぱいに広がりますよね。
わが家に40年以上伝わるオリジナルの製法で作っています。まず、無農薬、有機肥料で栽培した甘夏ミカンの皮をむき、米酢であく抜きをします。米酢を使うと、独特の苦みがいいあんばいに抜けて風味が良くなるんです。その後、絞って砂糖で煮込んでから乾燥させますが、煮込む時、果汁をたっぷり入れるのがコツ! こうすることでジューシーに仕上がります。大量の果汁を使えるのは農家だからこそ。食品添加物は一切使っていません。
濱崎さん:はい。ターゲットは、家事や仕事、子育てを頑張る20~40代の女性です。彼女たちが忙しいときにも手軽に食べられるよう、保存が利くドライにして細長くカット。パッケージも、女性が思わず手に取りたくなるようなデザインにこだわりました。
商品の第一弾が完成した後も、催事などで直接女性の要望を聞いて少しずつ改良を重ねています。例えば、甘夏ピールに使う砂糖。「糖分が気になる」などの声を受けて、体にやさしい北海道産の甜菜グラニュー糖を使い甘さを控えた「甘夏ピールプレミアム」を作りました。